日本を代表する民俗学者宮本常一氏(1907-1981)が注目を集めることになった(ウィキペディアによる)一冊「忘れられた日本人」を読みました。
明治から昭和初期にかけて青年期をおくった老人たちから聞き取った話をまとめたものです。年寄りの話を聞いて、それを書いただけの本なんですが、その時代の主に農村の人びとの営みが実によく描かれています。衣食住や仕事など、今の生活の方がずっと便利で快適ですが、寄り合いの話や日本全国を舞台に飛び回る大工の話やら、昔の方が今よりもずっと民主的で自由だったのでは、と思わされます。
私は、山陰の片田舎の出身で、昭和36年生まれですが、その数十年前まで、こんな生活があったんだなぁと思うと、話も身近なものに感じられました。
解説に引用された、宮本常一氏の「すべてが進歩しているのであろうか…」という言葉に考えさせられました。
私の満足度:★★★★
忘れられた日本人 (岩波文庫) 735円