転職して3年、介護福祉士の国家試験に合格した。
介護福祉士の資格取得にはいくつかの道があるが、私の場合は、実務経験3年という基準をクリアして、学科、実技試験を受験した結果、合格となった。今年の合格率は61%で、ほぼ例年並と言っていい。6割は合格するのだから、そう難関でもないのだが、正直、合格できてとてもうれしかった。
受かればうれしい。当たり前のことだけれども、事前に考えていたよりは、格段にうれしかった気がする。
今回の試験への取り組みにそれほど時間を割いたわけではなかった。
学科試験に関しては、過去、3年間、実施されて問題を毎年やってみて合格点を取れていたので、それほど心配をしていなかった。ただし、この仕事を始める前に受けた3ヶ月の研修直後の3年前に比べると、年々正解率が下がってきていいた。なので、実際の受験に際しては、昨年の問題をやってみて、苦手分野だけを重点的に復習した。復習は1ヶ月程前から、寝る前に5分か10分程度、テキストを数ページずつ読み込んだ。68点の合格点に対して、87点を取れたので、成果はあったのではないかと思う。
実技試験に関してが、私的には非常に難関だった。研修時に模擬テストをやったことがあるが、それは3年前。実務3年を経て、いろいろと我流になったり、雑になったりしている部分も多い。個人の残存能力を生かしていくという観点が重視されるそうだが、同じ方々とつき合っていると、だんだんとそんな意識が薄らいで行くのは否めないのだ。
会社が実施してくれた研修に数度参加。これは多いに参考になった。言葉遣いや声掛けのタイミング、基本技術のおさらいができた。実際の試験の進め方もここで聞くことができた。
この研修に加え、前日から過去の出題問題をすべて書き出して、頭の中でシミュレーションしてみた。そこで技術的にどうしたらいいかわからない部分はテキストを読み返してみた。
それで臨んだ実技試験だったが、当日はあいにくの冷たい雨、さらに知り合いはだれもおらず、試験が終わるまでは一言もしゃべることができず、リラックスすることができず、それが意外ときつかった。その時間は約2時間半。
その程度の取り組みだったけど、なんとかいけるんじゃないかという自信はあった。
さて、今回の問題は、
立ち上がりと歩行に一部介助が必要です。
今、本人は居間で横になっています。
青木さんは「窓の近くにある植木に水をやりたい」と言っています。
青木さんが窓の近くまで移動して、いすに座るまでの介護をしてください。
青木さんは右利きです。
青木さんの返事は、「はい」または、うなずくだけです。
問題を渡されてから、15分ぐらいの待ち時間の間に覆いに悩んだのが、まったく麻痺のないこと。これまでの問題はだいたい右か左に麻痺があり、介助の流れが見えていた。それからベッドではなく床の上に寝ていること。床からの立ち上がりは出るんじゃないかと想定していたので、テキストには目を通していたが、それは麻痺がある人の場合で、麻痺の無い人は想定していなかった。会場には杖と椅子が用意されていたが、椅子を使うかどうかは特に指示がない。これも多いに悩んだ。立ち上がって窓際に移動するだけという非常にシンプルな課題だけれども、どこまで何をやっていいのか、多いに悩みどころのある問題だったので、考える力も試される難しい問題だったような気がする。
迷いに迷ったが、時間には限りがあるので、結局、右利きとあるので、左麻痺の軽い感じと想定し、左側を支える。立ち上がりは椅子を使わず、自分の肩につかまってもらって立ち上がりを介助しようと決め、その中での介助をシミュレーションした。その中で靴を脱ぐのを忘れないように、より窓に近い左側に立ってもらおうなどと考えたて、試験場に入出したが「靴はここに脱いで下さい」とあらかじめ指示されるし、モデルは右側臥位になっているし、シミュレーションはそこからガラガラと崩れ、自分の頭の中では1分程で課題を終了。途中、女子大生らしいモデルの子に困ったような表情をされる時もあり、舞い上がったままで終了。終わった瞬間は、これ駄目かという思いも巡ったが、終わった安堵感が大きかった。
終わったかことをクヨクヨと考えても仕様がないと思う反面、何が正解だったのかと疑問、自分がやったことへの不安があり、帰りのバスの中で、別会場で試験を受けた同僚と情報交換を行った。その結果、椅子を使わなかったのはまずかったかなぁという反省のみが残った。
発表まで1ヶ月弱の期間は、不安80、期待20という感じ。26日のネット発表も1時間遅れでアクセスしてみた。
そんな不安がうれしさを大きくしてくれたのかもしれない。