「犯人はこの人、というような意外性だけでの作品では物足りなくなってきました。これならいくつ書いても同じだと思うんですね」。
巻末の解説で引用されているインタビュー記事の内容です。犯人さがしの意外性だけでも十分に作品は成立すると思いますが、それを飛び越えようとする著者の考え、またそうした作品が非常におもしろい。これがデビュー5年目の作品なんです。
手紙などは、ミステリーの領域ではないわけで、これ以後の作品を読むことへの期待感が高まっていきます。ただ、最後の一行については、著者が語るほどに、私は心打たれませんでした。1990年講談社ノベルス書き下ろし作品。
宿命 (講談社文庫)
私の満足度:★★★★☆