現実感に欠ける設定が▲「容疑者Xの献身」

higashino_yougishax_ガリレオシリーズを、私はあまりおもしろいとは思っていません。科学的な論証が優先してしまうために、あたりまえのミステリーになってしまってると思える作品が多いからです。
でも、この「容疑者Xの献身」は、物語も良かった。そして、アリバイづくりのトリックもすごい。途中では、そのトリックのすごさにまったく気づかされなかったぐらいすごい。
ただ、どうしても引き込まれなかったのは、頭脳明晰な数学者が、アリバイ工作をするために、さらなるリスクを背負ってしまうことです。もちろん容疑者Xは、自身を不遇な人間だと思っているので、殺人犯だと思われることなど、どうでもいいことなのかもしれません。
そのあたりが、どうしても納得しきれない。小説だからいいと言えばいいのですが……。
私の満足度:★★★
容疑者Xの献身 (文春文庫) 660円