「週刊プレーボーイ」に2001年から2003年にかけて連載された小説。2年にわたるだけにかなりの長編です。中盤でストーリーのアウトラインが見えてくるのですが、そうなると、この小説はいったいどこで、どんな形で決着がつくのかが非常に気になってきます。また、それを考えるだけの時間的余裕がある長編でもあるのです。
登場人物、私は水原雅也に思い入れが出てきて、ラストはこうなって欲しいと思いつつも、そんなあたりまえの結末があるわけないとも……。結局、私の考えは裏切られました。このラストシーンはいつ決めたのか、チャンスがあればぜひ著者に聞いて見たいですね。
さて、事件の解明へのストーリーもさることながら、登場人物のひとり新海美冬を取り囲む男たちの物語に我が身を重ねて楽しめました。男って悲しい……、でもこんな女に騙されてみたい……、いや俺だったらこんな女に騙されないぞ……、なーんて妄想しながら読めます。
男って女性には、とくにいい女には逆らえませんからね。
私の満足度:★★★★
幻夜 (集英社文庫) 1000円