世界遺産石見銀山

数年ぶりに正月に帰省した。

大晦日の新幹線に乗った。東京はいい天気だったのだが、中国山地を越えるころから外はすっかり雪景色になった。何年ぶりかの雪景色はここちよく、正月気分も満喫できた。

今度の帰省は、ミーハーだけどひとつ行ってみたいところがあった。去年、世界遺産に登録された「石見銀山」だ。生まれ育った町からクルマで約1時間半、ひっそりとした山村に石見銀山はある。教科書に載っていたから、その存在は小さいころから知っていたのに一度も訪れる機会がなく、近くにある三瓶山にばかり行っていた。

確かに地元でもあんまり注目される場所ではなく、また周囲の知人は、みんな口をそろえて「あれが世界遺産ですか?」って疑問を投げかける。でも地元びいきの僕は、絶対スゴイところだと信じている。行ったこともないのに、力説できないから、正月に行ってみた。

11141182雪につつまれた銀山の街並みは正月2日だというのにひっそりとしていた。さすがに世界遺産となっただけに観光客は見受けられたが、1時間に1、2本の送迎バスがいっぱいになる程度、時折激しく降る雪も手伝って寂しい。お店もほとんど開いていない。だがそれは、世界遺産になってもいつもと変わらない正月風景を営む、島根の人の素朴さ、謙虚さ、慎ましやかさなんだと思う。