開田高原と御嶽山

 バイク旅行夏号を見てから御嶽山を見に行こうと思っていたのだが、重い腰がなかなか動かない。そのうちにあの噴火災害が勃発してしまった。これで当分は行けないのかなぁと漠然と思っていたが、「この冬スキー場のオープンもままならず、地元の観光産業は大打撃!」的なニュースを耳にするたびに、ほんのわずかでも貢献できるものなら、行ってみようという気持ちが強くなった。実際の現場も見てみたいという気持ちも強くなった。

 紅葉にもまだ間に合うかもしれないと、3連休明けの今日、たまたま休みで、しかも晴天の天気予報だったので出かけた。気になるのは、放射冷却現象も手伝って、朝はかなり冷え込むという事。日が射せば何とかなるという甘い考えを持ち、朝8時30分に自宅を出発した。少しでも暖かい方がいいと、リエゾンは国道19号を選択。しかし、やっぱり甘くない、道路脇の温度計は、軒並み5度から6度の表示。下はアンダーパンツ、上は長袖シャツにフリースを一枚とジャケット。日が射せば十分と思っていたが、やっぱり寒かった。上にもう一枚、せめてグローブは防寒タイプにしておくんだったと後悔した。

 10時、松本のロイホで朝食休憩をとったが、暖かい店内に入ると身体が冷えきっているのがよくわかった。
▲トーストと目玉焼き"

▲トーストと目玉焼き

 南信に向かう際にいつも悩まされるのが、松本市内、国道19号の渋滞だ。なので「日本アルプスサラダ街道」へ迂回する。サラダ街道の正確な区間を把握できていないが、今回通った道は、左手に広がる松本平の町並みを見ながら走る区間もある快走路。サラダ街道らしい野菜畑もちらほらと。

 国道19号に再び合流すると後は木曽福島までひたすら南下する。山々の紅葉が美しく見えてきた。道の駅「日義木曽駒高原」で地図を再確認、予定通り県道20号で開田高原を目指す事にした。ここですでに12時だ。
▲中山道東西中間之地の碑が建つ道の駅「日義木曽駒高原」

▲中山道東西中間之地の碑が建つ道の駅「日義木曽駒高原」

▲賑わいを見せる道の駅「三岳」

▲賑わいを見せる道の駅「三岳」

 県道20号に折れると田舎道に。こんなところに道の駅があるのか、というところに道の駅「三岳」があった。噴火の影響で閑散としているのかと思えば、結構な賑わいを見せていた。例年ならもっとにぎわっているということだろうか。こんなところにも道の駅があるのだからきっとそうに違いないと思った。開田高原に向けて再び走り出すと、神社らしき場所を通る。バイクを停めるとそこが御嶽神社だった。広い駐車場に隣接した「太陽の丘公園」というのがあってオブジェがあった。お土産屋さんが1軒あって、開店していたが、こちらは道の駅と違い閑散としている。神社は道路より高い場所で立派な、厳かな雰囲気を醸し出す石段があった。
▲黒沢口の御嶽神社里宮

▲黒沢口の御嶽神社里宮

 帰ってきてからわかったのだが、地図を見ると御嶽神社には若宮が2つある。そこでググって調べてみると、御嶽山へ登るのに、黒沢口と王滝口があって、それぞれに里宮が建立されているということだ。信仰のために開かれた登山道は3つあり、岐阜県側のもう一つの登山道、小坂口にも里宮があるそうだ。今回は、黒沢口をバイクで行けるところまでトレースした。

 県道20号は途中で県道473号と分岐する。県道473号が山頂へと向かう道だ。この先にロープウェイがあり、そこまではクルマで行けるらしい。結果的には噴火の影響で今は5合目、八海山小屋(八海山神社)のところで行き止まりになっていた。どこまで行けるのかは、まったくわからなかったので、落葉も見られる道を恐る恐る上っていった。途中には「霊神碑」と呼ばれる石碑が多数立っていた。その石碑を作るためだろうか、石材店も2つあった。御嶽信仰のすごさを感じた。
▲霊神碑が所狭しと並ぶ4合目付近

▲霊神碑が所狭しと並ぶ4合目付近

 八海山神社には、県外ナンバーのクルマが一台。巡礼の白衣を着た老夫婦が参拝していた。その横で、八海山小屋(現在休業中)の前から噴煙を上げる御嶽山を眺めた。天気は快晴、静けさを取り戻しているように見えた。
▲八海山小屋から望む御嶽山頂

▲八海山小屋から望む御嶽山頂

▲八海山神社

▲八海山神社

 次は開田高原へ。県道20号に引き返し、さらに先へ進む。紅葉の美しルートで、途中で御嶽山が実にきれいに見渡せる。思わずバイクを停め、パチパチと写真を撮った。残念ながら午後になると完全な逆光。開田高原側からは、午後は逆光になってしまうようだ。
▲いくつかの峰が連なる単独峰の御嶽山は裾野も広い

▲いくつかの峰が連なる単独峰の御嶽山は裾野も広い

 開田高原では、木曽馬の里で、日本人な体型の木曽馬を見学し、「霧しな」で新そばを使ったあたたかい「肉そば」を食べた。3時を回っていて、帰りが急がれたが、九蔵峠でもう一度御嶽山を眺め、帰路についた。どんどん気温は下がっていく、帰路はナイトラン必至だったので、まっすぐ帰ろうと思ったが、一つだけどうしても心残りだったのが温泉。「二本木温泉」の案内板にどうしても立ち寄りたくなって寄り道をした。でもこれが大正解! 今までに体験した事のないほどのプクプク、シュワシュワの湯につかる事ができた。
白樺も見られる木曽馬の里。御嶽山も一望

▲白樺も見られる木曽馬の里。御嶽山も一望

▲木曽馬の里への入口にある「霧しな」の「肉そば(1150円)」

▲木曽馬の里への入口にある「霧しな」の「肉そば(1150円)」

▲九蔵峠からは夕陽が美しいそうだが、4時頃は逆光で……

▲九蔵峠からは夕陽が美しいそうだが、4時頃は逆光で……

▲身体についた気泡が溢れ出しプクプクと浮かんでくる程気泡成分が多い

▲身体についた気泡が溢れ出しプクプクと浮かんでくる程気泡成分が多い

二本木温泉
私の満足度:★★★★★
   お湯:★★★★★
   景色:★★★
   情緒:★★★

 松本市内で、道にも迷ったが、案の定、帰りはナイトラン、気温5度まで冷え込んだ国道19号を走る事になった。
 今回のツーリングで見られなかったところがまだまだある。ぜひ、開田高原へはまた出かけたい。

出発:8時30分 到着:19時40分
走行距離:360km