熊の手洗湯(くまのてあらゆ)が新しくなったと聞いていたので、2年ぶりに野沢温泉に出かけた。
▲建て直された熊の手洗湯外観
▲前の熊の手洗湯外観
熊の手洗湯は、熱々の野沢温泉外湯の中でも、水を加えることなく入れる多分唯一の(全湯入ったことはないので多分)湯。建て直すほど古かった印象はなかったが、47年ぶりの立て直しらしい。総じて野沢温泉の外湯は、建物が新しい気がするので、一定期間で建て替えるシステムができているのかもしれない。
前の熊の手洗湯がどんなだったのか、よく覚えていないが、新しい熊の手洗湯は、中央を仕切られた浴槽の、右が熱い湯、左がぬるい湯となっている。ぬるい湯が源泉温度43度の熊の手洗湯独自源泉の湯が注がれていて、そのままゆっくりと浸かることができる。右側には他源泉から引湯した熱い湯が注がれ足をつけるのが精一杯。とても肩まで浸かることはできなかった。
熱い湯のそそぎ口の下には樋が置かれ、ぬるい湯の浴槽にもほんの少しだけ流れ込むように調整されていた。熱湯に注がれる湯量もこの樋が調整、余分な湯は樋を通じてそのまま浴槽外へ流れるようになっていた。他の外湯でも樋を使って調整されているところがあるので、これが野沢式なのかもしれない。
湯は無色透明、ほんのりと硫黄臭(硫化水素臭)がする程度。外湯めぐりはこの熊の手洗湯がオススメだ。
一般に温泉の匂いを硫黄臭というが、化学的には硫黄は無臭らしい。化学的に正確に表現すると硫化水素臭ということになるのだが、温泉で使う硫黄臭の硫黄は、この元素記号Sの硫黄のことではなく、温泉の匂いを指す「湯泡(ゆおう)」が語源となっている硫黄だという説がある。だから硫黄臭となり、硫黄臭が定着している。ちなみに硫化水素は硫黄と水素の化合物。硫化水素臭とは腐卵臭と言われる匂い。温泉の泉質分析表には、硫化水素臭と表記されている。
▲上寺湯のシンプルな浴槽
▲源泉のそそぎ口で加水されているが熱々
熊の手洗湯を出ると、すぐそばの上寺湯(かみてらゆ)にも寄った。ここは野沢温泉らしい熱々の湯で、水道水を存分に注いだが、足を入れるのが精一杯だった。
帰路は北竜湖に寄り道。寄り道してわかったが、北竜湖はハート型の湖で素敵なカフェも温泉もある。何より、周遊路はよく整備された林間を抜ける約2km林道。ところどころから湖が望める。また来てもいいかな、と思える場所だった。
▲湖の外周を整備された砂利道が通っている