私のお気に入りの温泉地のひとつが信州高山温泉。木のぬくもりがいい大湯、混浴露天の滝の湯にまた一湯素敵な温泉を見つけた。それが「子安温泉」だ。
県道351号線をちょっとだけ脇道へ。入口に看板があるので注意していれば見落とすことはない。緑に囲まれたぽつんと立つ日帰り温泉は、トイレも駐車場の一角に仮設っぽいのが立ち、休憩施設も別棟(有料と書かれていた)の純然たる入浴施設のみの建物。浴槽は男女別の内湯のみ。ほんのちょっと熱めの無色透明の湯は、浴槽に注がれると茶褐色に変化する。もちろん源泉かけ流し。木造のゆったりとした浴槽からあふれる湯は床の隙間に吸い込まれていく。
窓からさしこむ太陽の光もいい感じ。これだけ茶褐色に染まる湯なのに、浴槽周辺にまったくその成分が固着していない。毎日の清掃が行き届いていて、木の浴槽の質感を肌で感じることができる。オーナーの愛情を感じられる施設だ。
源泉温度は、そう高くないので、ぬるめの源泉を蒸気熱で加温しているのだそうだ。口に含むと色の割に苦みを感じない、胃腸やアトピーにいいと持ち帰る人も多いらしい。
湯上がりにはお茶のサービスがあって、玄関口で温泉の方と話し込んだ。21年目を迎えた子安温泉は、今年4月に閉館の予定だった。しかし、常連客の要望で「やめるのをやめた」そうだ。某元総理の場合と違い、非常にうれしい決断に感謝である。
■子安温泉
入浴料:500円
泉質:ナトリウムカルシウム塩化物泉
私の満足度:★★★★★
お湯 ★★★★★
景色 ★★★
情緒 ★★★★★