同じ傾向の作品を読んでいると別の傾向のものを読んでみたくなります。というわけで、東野圭吾作品のなかでもちょっと軽い感じのこの作品を読んだ訳なのですが、これは東野圭吾らしからぬ（いやこれがホンモノ東野圭吾なのかもしれません）作品でした。短編集ですが、東野パワーの片鱗が少しずつあるものの、どこかで肩の力が抜けすぎています。本格的な東野ワールドを堪能しようと思うなら、この小説はなしなのかも。「鬱積電車」はいかにもであり、「あるジーサンに線香を」は、起承転結の結に力が感じられません。と、言ってみたけれど、決してつまらない訳じゃなく、今の僕は、ただ長編を読み続けたい気分なだけなんだと思います。
私の満足度：★★★☆☆
