■ストーリー
日本橋の片隅で熟年離婚し、一人暮らしをしていた女性が殺害される。いくつかの手がかりに基づいて捜査が開始される。地元の聞き込みを行うのが、東野シリーズに何度も登場する加賀恭一郎だ。日本橋署に着任したばかりという設定で、一つひとつの疑問を丹念に解決していく。そして、ついに犯人に到達するのだが、疑問点が一つ残る。自供も物証も得られているのだが、どうしても明らかにできない、その最後の疑問をも、加賀恭一郎は、この物語らしい方法を使って見事に解決していく。
■書評
この小説は、事件現場から話が始まるのではなく、聞き込みのシーンから始まっていく。だから、聞き込みをうける人たちと同様に読み手にとってどんな事件なのかな、かなかわ見えてこない。それなのに、途中で飽きることがない。
それは、9章に分かれている、その一つひとつの章が話として完結していて、その話が日本橋という土地柄も生かして、「家族」をテーマにした人情話としていい感じにまとまっているのだ。
一日一話、ゆっくりと読み進めたいミステリーだ。
新参者 (講談社文庫)
私の満足度:★★★★★