ブランド薬師神社と戸隠そば

 梅雨の合間、そうだあの神社に行ってみよう。かねてから気になっていた、カタカナ名前の「ブランド薬師神社」だ。浅川ループラインを飯綱に向かうと、ちょうと真光寺ループ橋にさしかっかるあたりに、ブランド薬師の文字が見えてくる。最初に見た時に、「なんじゃこれは! なんか胡散臭いな」と思ったが、ある時テレビで、絶景が見られる場所としてここの紹介をしていたので、その時からいつか行ってみようと思っていた。

 ブランド薬師に到着すると案内板に下記のように書かれていた。なんと、胡散臭いなんて失礼極まりない、由緒正しき薬師神社だったのだ。

 この公園のシンボルである八櫛神社は大同二年(807年)創建と伝えられ「信濃奇勝録」や「善光寺道名所図会」等で案内されているように、古くからこの地域の名所である。
 祭神は少彦名命(すくなひこのみこと)で、「日本三代実録」によると、貞観五年(863年)信濃国八櫛神に従五位の上を授けるとあり、当社をさすものといわれている。
 天明六年(1786年)伊勢神宮の神官で国学者の荒木田久老が参詣し、本尊は神像の少彦名命であるとされてからは神社とされた(「薬山の歌並序」)。
 しかし、当時も本尊(薬師如来)を善光寺光明院に預け、縁日に堂に上げて信者に礼拝させるなど、明治まで神仏混在が続いた。
 弘化四年(1847年)の善光寺地震の際、薬師堂は本尊とともに、下の浅川に崩落し壊滅したが、文久元年(1861年)、北郷村民の尽力により現在の堂が再建された。再建の費用は合計で三十二両二分、人夫二百十四人とされる。
 明治八年(1875年)、八櫛神社として県へ届書が出された。この時、堂は真言宗雲叡山北郷寺龍王院だったと書かれている。この後、大正四年、昭和六年と改修が行われたが、築後、百年を経て痛みが酷く、昭和三十六年浄財を募り大改修が行われ、現在の姿となった。
 ブランド薬師の語源は、垂直の岩に穴を開け、三本の材木を打ち込み、そこに懸崖造りの社殿を建てたため、堂が揺れやすいことからブラン堂の名が生まれたといわれる。
 昭和二十九年四月、旧浅川村と長野市との合併を機に、旧北郷地区より薬山約七町歩が市に寄付され、松などが凝灰岩に這う奇景をそのままに、公園として整備されてきた。
 昭和六十二年に四阿の建設や裏小道の整備が行われ、昭和六十三年には岩場の十三仏を現在地に移転し、鳥居も度々新築された。現在は市内の小学生の遠足や、市民のウオーキングコースとして名実ともに身近な市民の公園として親しまれている。

▲道路脇に鳥居があり、すぐそこに社があるんだと思ったら大違い。歩く歩く

▲道路脇に鳥居があり、すぐそこに社があるんだと思ったら大違い。歩く歩く

▲最初は草ぼうぼうの細い道。そこに石仏が置かれていた。表情がとても柔らかく、ユーモラスな感じ。同様の石仏が道端に点在している

▲最初は草ぼうぼうの細い道。そこに石仏が置かれていた。表情がとても柔らかく、ユーモラスな感じ。同様の石仏が道端に点在している

▲上に行くほど、なぜか道が歩きやすくなる

▲上に行くほど、なぜか道が歩きやすくなる

▲はあはあ、ひいひいと30分ぐらい(時間はイメージ)上っただろうか。懸崖造りの立派なお堂が見えてきた

▲はあはあ、ひいひいと30分ぐらい(時間はイメージ)上っただろうか。懸崖造りの立派なお堂が見えてきた

▲お堂に近づくとコンクリート補強されていた。これで安心して参拝できると思った

▲お堂に近づくとコンクリート補強されていた。これで安心して参拝できると思った

▲堂に入ると、そこには岩が突き出していて、その中に本尊が安置されている

▲堂に入ると、そこには岩が突き出していて、その中に本尊が安置されている

▲お堂からはループ橋が眼下に見えた

▲お堂からはループ橋が眼下に見えた

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▲堂をさらに上ると東屋があった。さらに奥へと道は続く。驚いたことにここからコンクリート舗装されている。上れば上るほど道が良くなる不思議だ。そこし歩いてみると、どうやら浅川ダムに続く道らしい。通行禁止と出ていたので、途中で引き返した

 ブランド薬師参拝でお腹も空いてので、次なる目的地を戸隠の蕎麦屋に定めた。途中から逆回転になる真光寺ループ橋を走り、県道404で左折、途中から戸隠バードラインと合流して戸隠を目指した。このルート、適度なコーナーと林間を抜けるストレートが連続し、実に気持ち良く走れるコースだ。

 本日の昼食は「戸隠そば博物館とんくるりん」に決めた。大きな店構え、駐車場も広く、見るからに団体観光客相手という匂いがプンプンとする食事処だが、立派な建物に一度は吸い込まれてみたいという気もしていた。幸い平日で駐車場は閑散としている。

 店に入ると、閑散としているどころかお客は僕一人だった。昼時で駐車場がいっぱいになる店も通り過ぎてきたので、幾分心配になったが、入ったからには開き直りだ。店の名前を冠した、たぶん一押しメニュー「とんくるりん博物館そば御膳(1545円)」を注文した。

 このメニューは、ぽっち盛りの戸隠そばが一の膳、二の膳には、そば団子、そばがき、薄焼き、そばとしそのゼリーがのっているそばのフルコースだ。そばの味もまずまず。ねっちょりとしたそばがきに香ばしいそば団子も美味。最後にゼリーをつるりといただき、ボリュームも十分だ。残念なのはそば湯。まだ客が少なかったのか、さ湯という感じのものが出てきた。

 満腹になったので、そのまま県道76、県道86と下って森林囃子の湯につかって帰路についた。

▲一の膳はぽっち盛りの戸隠そば

▲一の膳はぽっち盛りの戸隠そば

▲二の膳はそば団子(右手前)、そばがき(真ん中)、薄焼き(左奥)、そばとしそのゼリー(右奥)

▲二の膳はそば団子(右手前)、そばがき(真ん中)、薄焼き(左奥)、そばとしそのゼリー(右奥)

▲立派な建物のとんくるりん。中でそば打ち体験もできる

▲立派な建物のとんくるりん。中でそば打ち体験もできる

▲とんくるりんの裏山は展望台にもなっている。そこからの眺め

▲とんくるりんの裏山は展望台にもなっている。そこからの眺め

▲森林囃子の湯。前面の緑がきれい

▲森林囃子の湯。前面の緑がきれい