あれよわれゆと言う間に秋が深まってきた。ついこの間まで半袖で良かったのに、長袖でもたりずジャケットが恋しくなる季節になってしまった。このままではシーズンが終わってしまう。なんとなく気だるい2014シーズンだが、ここは錆び付いた体に鞭を打ち出かけることにした。その大義名分はお墓参り。今年は、まだ一回も行っていない。1年に1回ぐらいは、父の墓参りをしなければならないところだが、日帰りでは行けない場所、そこで、かみさんの親父さんの墓参りをさせてもらう事にした。
場所は辰野町小野。中山道の脇往還、三河と信濃を結ぶ三州街道の宿場町、小野宿になる。殺風景な国道が小野の集落に入ると、わずかに宿場町のおもむきを残す町並みが残る。
墓参を終えると、本当?の目的地諏訪湖の毒沢鉱泉へ向かう。県道254号線で山越えだが、あった言う間に鳥居平やまびこ公園に至る。
この公園は、絶景スポットだ。駐車場から石段を上るとほんの数分で諏訪湖を一望する芝生の広場に到着する。
ハアハアと言って上り詰めたところに、パッと広がる芝生広場越しの風景がすばらしいのだ。諏訪湖の向こうには八ヶ岳の山並みが続く。残念ながら、芝生広場からは、前方の木々が邪魔してしまうが、展望台に上ると湖の形も地図を見るように眺める事ができる。諏訪湖周辺にいくつかの展望スポットがあるが、その中でも1、2を争うビュースポットだと思う。
やまびこ公園を下るとすぐに諏訪湖だ。湖岸に近いところを走る道路で周遊できるので、一周するのもおすすめ。今日はまっすぐに毒沢温泉に近い、諏訪大社下社春宮へ向かう。御柱を見上げながら、今度は4社を続けて参拝してみようと思う。
春宮のとなりに万治の石仏がある。岡本太郎も絶賛したという石仏だから、そのユニークさは押して知るべし。立派な石仏が数ある時代(たぶん)に、よくまあ、こんなユニークなものを作ったものであると感心してしまう。
「よろず治まりますように」とお願いし、願いを唱えながら石仏の回りを3周、「よろず治まりました」とお礼を述べると、願いが叶うという。もちろん、お願いをしてみた。
いよいよ、毒沢鉱泉だ。石仏のすぐ脇の急な坂道を上っていくと、温泉にたどり着く。入口部分は、本当にこれが、一般車が出入るするのかと思われる程の急坂だ。毒沢鉱泉には、3つの湯宿があり、前回は、沢乃湯鉱泉旅館の湯につかった。廊下を歩くときゅっきゅっと音のするような古びた旅館で、そのお風呂も鄙びたもので、マニアックでとても良かった。今回は、その上にさらにもう一軒宿があるので、そちらに行こうと、前を通りかかると、以前あった看板も、玄関の張り紙類もすべて無くなっていた。もしかして廃業したのかもしれない。もしそうならとても残念だ。
沢乃湯から先はタイトな上り道になる。数百メートルで行き止まりとなり、そこに、日本秘湯を守る会の宿「神乃湯」がある。玄関を入ると秘湯を守る会の宿らしい雰囲気のロビーがある。受付で料金700円を払って浴室へ。先客は3名。3人入ると一杯になるような湯船は茶褐色の湯で満たされている。旅館自体も、浴室も非常にきれいで、浴室の窓は大きなサッシ窓、その向こうには、沢沿いの木々で覆われている。行き止まりの宿だけに静かな空間が広がっている。
毒沢鉱泉の最大の特徴は、お湯の味。酸っぱいのだ。毒沢鉱泉自体は冷泉で、湯船は加温された湯がそそがれている。適温にあたためられた湯船に注ぎ込む湯をちょっとなめたら、酸っぱさがほとんど感じられない。湯船の横に飲泉用の源泉も用意されていて、それがそのまま注ぎ込む冷たい湯船があるので、まず、飲泉用の源泉を飲んでみる。「酸っぱい」。源泉はすごい! 冷たいけれど、これはやっぱり源泉につからねばならないと、お一人様用と言えるぐらいの小さな、そして冷たい源泉に勇気を出して入ってみた。ゆっくりと腰までつかるところまではなんとかできたが、肩までは我慢できなかった。源泉は無色透明なままだから、鮮度もいいので、もうちょっとつかりたかったが、1分も持たずにギブアップだった。しかし、源泉の湯船が用意されているのはうれしいところだ。
毒沢温泉神乃湯
私の満足度:★★★★
お湯:★★★★★
景色:★★★★
情緒:★★★★
30分程、温泉を楽しんで岐路につく。上田に抜け、真田の町を通り、いつもの裏道で帰ってきた。
本日の走行距離:216km
出発:9時 帰着:18時