ほんとうはどうなんだろう「手紙」

41PZ804DTVL._SS500_東野圭吾だから推理小説だと思っていた。殺人事件は描かれていたが、文学作品というのでしょうか。こんなのも書けてしまうのが東野作品をおもしろくしているのでしょう。

事件が起これば、犯人の家族が存在する。夫婦ならもともと赤の他人だから別れようがあるが、親子だったり、兄弟だったりすれば、その縁は一生消えることはない。実際にこの小説のようなことがあるわけだが、その場合、この話のようなことがいつも起こっているのだろうか。それってどうすればいいんだろうか。特にこの事件の設定のような場合、犯人を憎みきれないような気がする。だから、その家族が取る行動に対しても、すべてに同調できなかった。自分のまわりにそんな人がいたら、どうするんだろうか。はたまた、自分がそうだったら。頭では、わかっている気もするのだけれど、ずーとずっと考えさせられ続ける。作者の意図も、そして、これを読んだ多くの人たちが何を考えるのだろうかも気になった。

私の満足度:★★★★☆

手紙 (文春文庫) 620円