落ちが見えない傑作短編集「怪しい人びと」

higashino_ayashii怪しい人びとは、主に小説宝石と別冊小説宝石に91〜93年にかけて発表された短編をまとめたもの。読み終えてまず思ったのは、表題の「怪しい人びと」といいうのが、本のタイトルとしてそぐわないんじゃないかということ。このタイトルを超えた傑作短編がぎっしりと詰まっていたからです。

落ちがなかなか見えないのがいい。しかも、コミカルなものから、シリアスなものまで作品に幅があり、それでいてそれぞれのトーンが揃っています。この作品の中で、特に好きなのが「甘いはずなのに」。導入、謎、謎解きのヒント、意外な展開と結末、ほのぼのとした読後感。幸せな気持ちになれるお話でした。

私の満足度:★★★★
怪しい人びと (光文社文庫) 500円