いい風呂の日に別所温泉の外湯めぐり

 日中の気温が1桁台に冷え込んでききそうなので、そろそろ今年のツーリングも最後。いい風呂の日でもあるので、ちょっと足を伸ばして別所温泉に行ってきた。

 往路は地蔵峠越え、復路は県道77号を使った。地蔵峠では今朝降った雪が路肩に少しだけ残っていた。やっぱり冬が迫っている。

 天気予報では昼間は晴れなのだが、雪の気配を感じた地蔵峠を越えると急に雲行きが怪しくなり、真田に降りたあたりでは小雨に見舞われてしまった。しかし、午後は晴れというyahooの天気予報を信じ、別所温泉に向かった。するとバイクを止める頃には雨がやみ、空には絵に描いたような虹が出た。
▲大湯近くの空き地から見たレインボー

▲大湯近くの空き地から見たレインボー

 外湯めぐりの前に、まずは北向観音に参拝した。大湯近くの無料駐車場にバイクを止めて、大湯を通り越し、とぼとぼと北向観音へ。ここは高台にあるのだが、観音堂まで車椅子で行けるバリアフリーなお寺だ。

 境内に書かれた紹介文には、「……南向きの善光寺と相対し古来両尊を参詣しなければ片詣りになるといわれている……」とある。
▲北向観音は、平安時代初期、825年に比叡山延暦寺座主の慈覚大師円仁により開創された

▲北向観音は、平安時代初期、825年に比叡山延暦寺座主の慈覚大師円仁により開創された

 参拝後、境内の右側を降りると外湯の一つ「大師湯」に出る。さらにそこから50mほど左側に「石湯」がある。別所温泉には「石湯」「大師湯」「大湯」の3湯の外湯がある。

 1湯目は「石湯」。12時を回った頃だったが、ラッキーなことにお客さんは誰もおらず、貸し切り状態でゆったりとつかることができた。脱衣所から一段低くなったところに、大きな岩を配置した浴槽があり、3湯中、最も内部に趣を感じられる。

 湯はいずれも無色透明の単純硫黄泉だ。雨にも打たれ、冷え切って痺れる足をゆっくりと温めて上がった。外には飲泉用の蛇口がある。内湯は塩素系の薬剤で消毒されているため、飲泉不可。飲泉用の湯を口に含むと源泉の硫黄味がはっきりと感じられた。
▲古い温泉の趣を持つ石湯

▲古い温泉の趣を持つ石湯

▲名前の通り、大きな石に囲まれた浴槽

▲名前の通り、大きな石に囲まれた浴槽

 2湯目は「大師湯」。案内板によれば「天長2年(825年)比叡山延暦寺の座主円仁慈覚大師が北向観音堂建立にあたり好んで入浴されたので大師湯と名付けられたと伝えられている」。北向観音以上に歴史があるのだ。

 表から見ると大きそうだが、奥行きがあまりなく、中は狭い。3人入ればいっぱいの浴槽と鰻の寝床のような脱衣所がある。しかし、無色透明の湯は、加温、加水、循環、消毒なしの源泉掛け流し。ほのかに硫黄臭がある。飲泉もOKなようで、そそぎ口にはコップが置かれていた。湯温もぬるめなので、長湯もできそうだが、2湯目でもあり、5分ほどで湯から上がった。
▲間口は広いが、奥行きのない大師湯

▲間口は広いが、奥行きのない大師湯

 お腹が空いたので、石湯前のなんともいい感じの食堂に入ろうと思っていたが、本日休業。少し下ったところの大衆食堂「三友軒」でカツ丼を食べた。丼を隙間なく覆うカツは、筋っぽいところもあるがまずますの味だった。

 最後は「大湯」表向きは古風なところがあるが、中はタイル張りの今風な浴場。露天もあるが、申し訳程度。露天は無色透明だが、内湯は本当にうっすらと白く濁っている。

 浴室も更衣室も3湯の中で最も広い。ゆっくりするなら、大湯なのだろうが、それでも、露天も内湯も5〜6人で混み合ってしまう。大湯も循環ろ過、薬剤で消毒されているので飲泉は不可、外に飲泉用の蛇口がある。
▲大湯の名の通りの外観

▲大湯の名の通りの外観

 別所温泉の外湯は、いずれも入浴料が150円と安い。3湯めぐっても450円。肌触りのいいさらりとした本物の湯にこの料金で入れるのだがら、近くにあったらちょくちょく来たくなる温泉だ。