文庫のタイトルに「傑作ユーモア推理小説」と書き添えられていますが、まさにその通りの1冊でした。
7つのストーリーが納められた短編集、主人公は同期のスチュワーデス二人組。一方はスタイル、顔立ち、そして成績も申し分なしの優等生の早瀬英子、通称エー子。そしてもう一人がそれとはまったく逆のプロフィールを持つ藤真美子。優等生がエー子なので、ビー子と呼ばれているという設定です。
エー子よりももちろん、色物ビー子がいい味を出していて、話をひっかきまわしておもしろくしてくれます。古典的とも言える典型的なコンビのパターンに落ち着いていることが、推理小説としての話をわかりやすく引き立てていてくれると思います。
これまで、短編集にあまり高い評価を持っていませんでしたが、20年近くも前にまとめられた作品を読んで考えを新たにしました。長編を読むほどの満足感はありませんが、長編を読み疲れた時、ちょっとした移動時間に、後を引くことなく読める“傑作ユーモア推理小説”です。
この2人のコンビは、他では読めないのでしょうか。それとも20年も前の登場人物なので、もう2人とも引退してしまったのでしょうか。
殺人現場は雲の上 (光文社文庫)
私のおすすめ度:★★★★☆
収録作品
●ステイの夜は殺人の夜
明らかにあやしいと思える容疑者は2名。はたしてどちらの犯行なのか?
●忘れ物にご注意ください
ありえな忘れ物の秘密にびっくり
●お見合いシートのシンデレラ
きっと裏がある、絶対に何かあると思っていても、ちょっと騙されます。
●旅は道連れミステリアス
ユーモア小説というから許される結末!?
●とても大事な落とし物
シリアスなストーリの展開でもおもしろかも。
●マボロシの乗客
それまで思い込む○○ってよっぽど○○なんだと想像膨らみました。
●狙われたエー子
最後になってようやく話がつながる展開は、まさに推理小説!