母の卒寿を祝うために、2泊3日にで帰省した。10連休となったゴールデンウィーク中の島根への帰省となったが、案外ローカル路線はゆったりとしていた。流石に新幹線「のぞみ」号は指定席完売、自由席も当然いっぱいだったが、もし「こだま」を利用していたら、時間はかかったかもしれないが、往復ゆったりと座っての電車旅ができたのかもしれない。
経路はいつもの通り、長野から名古屋までを特急「しなの」、名古屋から岡山までを新幹線「のぞみ」、岡山から出雲市までが特急「やくも」を利用した。

5月2日にJR長野駅を午前11時発のしなのに乗る。弁当も買い込んだが、先日、篠ノ井駅で食べた駅そばがうまかったので、衝動的に立ち食いそばが食べたくなり、ホームでかけそばを注文した。
そばを食べ終わった頃、ちょうど「しなの」がホームに入ってきた。前述の通りゴールデンウィークだから、少しはホームに人が並ぶのかと思いきや、ホームに人はまばら、始発駅だから、自由席の車両の中もガラガラ状態だった。多少拍子抜けしたが、利用する方にすれば願ったり叶ったり。姨捨から、善光寺平を一望できる、進行方向に向かって左側の席に陣取った。
列車は定刻どおり出発した。今回も東野圭吾のミステリー小説が旅のお伴。さらに、地酒を買い込んで呑み鉄紀行を楽しむことにした。
選んだお酒は、諏訪の銘酒「真澄」。スーパーなどでも普通に手に入るお酒だが、美味い。お手頃価格で群を抜く美味さだと私は思う。カップ酒というとビンのイメージがあったが、信州には紙コップに封をしたカップ酒がいくつかある。紙のカップは軽くて、口当たりも良く、オススメだと思う。そして、サッポロ黒ラベル。缶ビールと言えばこいつが私のお気に入り。暑い日だったので、ビールも欠かせない。
夜勤明けだったので、うつらうつらとしながらの旅、読書はあまり進まなかった。その分、iPhoneで、なぜか昨年になって発売されたNSPの復活コンサートのライブ版「NSP復活コンサート!!〜2002.2.3 大阪厚生年金会館大ホール〜(Live)」をBGMにして心地よく居眠りをした。

14時1分、名古屋駅に着。新幹線ホームで定番、住吉のきしめんをかき込んだ。東京で仕事をしている頃は、名古屋駅経由で鈴鹿サーキットへ、長野に来てからは岐阜へ行ったり、帰省をしたりで、数年に1回程度だが名古屋駅を利用する。その時は無性にこのきしめんが食べたくなる。
名古屋からの「のぞみ」は、岡山まで立ちっぱなしだったが、岡山から16時4分発の「やくも」は、またゆったりと座ることができた。夕暮れに包まれていく山間の景色の中に進んでいく。19時20分、出雲市駅に到着、迎えに来てくれた母と義姉の運転で、雲南市へ帰省した。
卒寿の祝い
翌日は、米子に住む妹も合流、兄の娘家族と一緒に、兄が用意してくれた料理屋で「卒寿の祝いの会」を行なった。ふらふらと自由気ままに生きてきた弟の面倒も見てくれ、両親とずっと一緒に暮らしてくれた兄には感謝しても感謝しきれない。
会の最後に、母に戦争中の話を聞いた。食べ物が少なかったのでは? と尋ねると「このあたりは食うものには困らなかった」と。家が農家だったこともあったのかもしれないが、そう苦労話は聞けなかった。ちょっとショックだったのは、一番大変だったことは? と聞くと、「子供の弁当を作ることだった」と言われたことだ。共働きだった母は、満足なお弁当を作れたかどうか、いつも気がかりだったのだろう。大変申し訳ないことをした。お母さん、ありがとうございました。
出雲からは再び呑み鉄旅



長野への復路、10時32分発の「やくも」に乗る。出雲市駅からの旅のお供は、出雲純米酒「天穏」と「出雲はとむぎ茶」。天穏に描かれているのが島根のご当地キャラクター「しまねっこ」。頭には出雲大社の社殿の屋根を被っている。

復路も快晴。車窓から眺める宍道湖。向こうの方に見えるのが、島根の県都、松江市。手前を走るのは山陰の海岸線を結ぶ国道9号線。この景色を見るとバイクで走りたくなる。福岡の大学で学んでいた頃、国道9号を何度かバイクで往復した。交通量の少ない9号線は、日本海を眺めながら走ることのできる快走ルート、オススメの道だ。
米子から「やくも」は伯備線に入る。中国地方の最高峰大山(だいせん)、別名伯耆富士が車窓から見えてくる。この景色を最後に、山間の風景に変わり、日野川沿いに中国山地へと入っていく。

岡山駅着は、13時38分。乗り換えの間に、岡山の地酒を探したが、売店はどこも混んでいて、ピンとくる酒もなかったので、岡山はパスして、まだまだ混雑の激しい「のぞみ」で岡山に向かった。
15時30分名古屋駅着。ここではちょっと時間があったので、再び住吉のきしめんを食べる。そして車内のお供の、中埜酒造「國盛」のカップ酒「大名古屋」。ラベルの金のシャチホコのデザインに惹かれて購入。ちびちびとやりながら車窓の景色を眺めながら、18時58分、定刻通り長野駅に到着。予想外にゆったりとした鉄道の旅が楽しめた。